ヨーロッパ皆既日食ライブ1999中継企画事故調査報告

1999年12月22日
ヨーロッパ皆既日食ライブ1999中継企画事故調査委員会

(株)メディア・アイ・コーポレーションはヨーロッパ皆既日食ライブ1999企画プロジェクト会議を構成し、1999年8月11日にヨーロッパから西アジアで観測された皆既日食の模様をインターネットを通じてライブ中継した。同会議ではスタッフをトルコ共和国バーデレに派遣し、現地からの映像をインマルサット通信衛星を通じてインターネット上でその映像を公開した。その際、現地でマシントラブルが発生し、中継途中で途絶する事故が発生した。本件事故につき、事故調査委員会を設置し事故原因の究明にあたってきた。以下にその調査結果を報告する。

事故の概要

1999年8月11日19時10分(日本時間、以下同)からテスト映像を含めて中継を開始した。日食が始まった際にはシステムは問題なく稼動していた。20時30分頃画像を取り込んでいたノート型パーソナルコンピュータの電源が無くなり、その後の中継が不可能になった。

シールドバッテリーの動作

今回の中継にあたっては、補助用電源としてシールドバッテリーを現地に持ち込み、中継システム(ノート型パーソナルコンピュータ、インマルサット衛星電話)への給電を行なった。ここで使用したバッテリーは最大消費電力35W、使用時間2.7時間のものである。

技術調査

テスト環境

環境温度 22℃
テスト機材 コンピュータ IBM ThinkPad 535E
使用バッテリ GS 12V4.5Ah
ビデオキャプチャカード IO-DATA PCCAP
DC-ACインバータ TEAC OAP-200DA
Ethernetカード アライドテレシス LA-PCM

1.バッテリーの性能

経過時間[min] 電圧[V]
0 12.10
5 12.13
10 12.11
15 12.10
20 12.06
25 12.02
30 11.97
35 11.91
40 11.86
45 11.80
50 11.74
55 11.68
60 11.60
65 11.53
70 11.44
75 11.34
80 11.24
85 11.10
90 10.88

2.消費電流

各々の状態における消費電流は下記の通り

状態名 定義 消費電流
状態1 バッテリにDC-ACインバータを接続し,電源スイッチをonした時 0.26A
状態2 条件1の次にThinkPadのACアダプタを接続した時 0.52A
状態3 ThinkPadの電源投入時(HDD回転) 2.74A〜2.91A
状態4 定常状態(バックライトon/HDD read/writeなし) 1.89A
状態5 PCCAP起動した時にプレビューを表示 2.27A〜2.45A
状態6 PCCAP起動した時にプレビューを表示しない(windowを最小化) 1.86A
状態7 バックライトをoffした時 1.44A

結論

以上の結果からバッテリーの動作に異常はなく、仕様通りに動作することが確認された。今回の事故の原因は、事前の消費電力の見積を誤り、中継を実施するに足る電力が無いまま中継を実施したため、中途で電力不足に陥り、トラブルに至ったものである。 この背景には、ノート型パーソナルコンピュータ用のリチウムイオンバッテリーの納期に時間がかかり、今回の中継実施時期に納品が間に合わず、予備バッテリを用意できなかったことも一因として挙げられる。 また事前に稼動機器を使用しての試験を実施しなかったことも今回トラブル発生の大きな要因である。

対策

本件事故原因に鑑み、今後の中継実施に際しては以下の対策を講じる。

終わりに

今回のトラブル原因は事前の消費電力評価を誤ったという単純なもので、トラブル回避の対策は比較的単純である。次回以降はトラブルの無いよう実施すべく最大限の努力を傾注する。

なお、本件プロジェクトにご支援いただいたスポンサー各位、ならびに中継をご覧頂いたユーザーの方々にこの場をお借りして改めてお詫び申し上げるとともに、今後のご指導・ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。


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