西ヨーロッパ

夏の間、“ヨーロッパ・モンスーン”−6月半ばから9月まで、西よりの風とともに始まる曇りがちでにわか雨の多い期間−がヨーロッパ西半分を蔽っている。その他の時期は風向きはより変化に富んでおり、それにつれて暖かくなったり寒くなったりする。この事は冷たい空気が夏の時期に南方に広がることを意味しない。不安定な天気の寒い日は、北アメリカのように1週間か2週間の周期で訪れる。実際、皆既食帯の天候は北アメリカ平原やカナダのプレーリー地域と似ており、弱い気流の乱れがにわか雨や雷雨をもたらす。気流の乱れの間の期間は好天で乾燥した天候になるが、北米に比べるとヨーロッパではその頻度は少ない。

どいつからオーストリアにかけての地形の変化により気候の小地域を形成しているが、雲量よりは気温と降水量によって定義されている。雲のパターンはアルプスやジュラなどの高山地域に影響されているが、これらの主な効果は雲を散らすというよりは発生させている。卓越した西よりまたは北西の風はこれらの斜面を強制的に上昇させられ、冷却されて雲を形成する。山を越えて皆既帯に至る南よりの風は、雲を消滅させ下り斜面に乾燥した晴天をもたらすが(北米のチヌークあるいはヨーロッパのフェーン現象として知られている)、8月に南よりの風は比較的珍しく、山の効果は期待できないだろう。

アルプス山脈の影響にも関らず、ヨーロッパを皆既食が進むにつれて晴天率は上がり、大西洋の湿った空気からは遠ざかる。シャネル海岸のノルマンディーでの晴天率は18%で、フランス国内での皆既帯の晴天率が辛うじて20%になるにすぎない。しかしながら、この地点を過ぎると海洋性の西風は大陸性になり、ドイツ・オーストリアで少しずつ晴天率が上がっていく。この傾向はオーストリア中央のアルプス山脈の一部がかかる部分で中断し、雲の出る傾向が強くなる。この効果は極めてドラマティックで、オーストリア西部と東部の国境付近に比べて、中央部の日照時間は25%近く減少する。

図22と表38によれば、8月の平均曇天率はコーンウォール附近の60%からパリ附近の50%まで下がる。平均日照時間はフランスの6.5時間からオーストリアの8時間まで増える。図23によれば、海岸附近とパリでは天候が若干違うことが分かるが、ドイツ・オーストリアにかけて少しずつ日食が見られる可能性が高くなっていく事が分かる。

皆既帯に沿って、特にここといった推薦できる観測地点は無いが、日食の移動する東に行くにしたがって気候的に有利であるとは言える。もっと確実な方法は、日食の数日前に天気予報を聞き、晴れる予報の出た地点を選ぶことである。10日間ぐらいの長期予報は得られるが、その日の5日前ぐらいにならないとそれほど信頼のおけるものではない。この事は後述する。

まとめると、過去の統計からはフランス国内での中心帯で最も良いのは、大きな違いはないもののCompiegneからReimを通りMetzにかけてである。ドイツでは、Ulmからミュンヘンを通りオーストリア国境までが良い。オーストリアでは、ウィーンの南、ハンガリー国境附近だが、ドイツとの国境も間近である。

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